個人が売却した宅地で、宅地開発時に自治体へ寄附した道路部分の取得価額とその道路の設置にかかった費用は、譲渡所得の計算上、取得費に算入するという見解を東京国税局が示しました。
宅地を造成するとき、自治体の条例で一定の広さの道路や公園などを造ることが定められていて、それを自治体に寄附するケースがよくあります。しかも、いま不動産市場が冷え込んでいることから、造成した宅地を手放さざるを得ないケースも少なくありません。
個人が造成した一団の宅地を売却して得た所得は譲渡所得となり、税法上「譲渡所得の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の合計額とする」と規定されています。自治体に寄附した道路などの公共施設の取得費やその道路などの設置にかかった費用については、どのように取り扱うのか不透明な状態になっているのです。
ただ、国税庁の通達で「一団地の宅地の造成・分譲による事業所得又は雑所得の金額の計算について」とする規定があり(所得税基本通達36・37共-7《造成に伴って寄附する公共的施設等の建設費の原価算入》)、「一団地の宅地を造成して分譲する場合において、団地経営に必要とされる道路、公園、緑地、水道、排水路、街灯、汚水処理施設等の施設について、その公共的施設等を公共団体等に帰属させることとしているときであっても、その公共的施設等の取得に要した費用の額を、造成して分譲する宅地の工事原価の額に算入する」と定められています。
しかし、この通達は、事業所得又は雑所得の金額の計算上、造成して分譲する宅地の工事原価として控除する必要経費について定めたもの。譲渡所得の金額の計算上控除する取得費について直接定めたものではありません。そのため、宅地を造成して分譲することによって得る所得が譲渡所得に該当する場合には、その宅地の造成に伴い寄附した公共的施設等の取得に要した費用の額は、造成して分譲する宅地の譲渡所得の金額の計算上考慮されないのではないかという疑問が地主などの間でありました。
類似の事案を抱えていたある納税者が東京国税局に「本件道路部分の取得価額及びその設置に要した費用の額は、本件道路部分を市へ寄附したことにより本件分譲地の取得価額に算入され、本件分譲地を相続により取得した甲(質問者)の本件分譲地に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費に算入されると解するのが相当と考えます」などと文書で見解を伝えたところ、このほど同国税局が「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答をしています。
東京国税局管内の個人事業者から「今年は青色申告決算書が税務署から送られてくるのが遅い」といった不満の声が聞かれます。
青色申告決算書は、事業所得や不動産所得、山林所得がある青色申告者が確定申告書を用紙で提出する際に添付が必要な書類です。東京国税局管内の税務署では、個人で青色申告を行っている納税者が自力で正しい決算を行えるように、毎年、青色申告決算書の作成説明会を開催しているほど重要な書類です。
にもかかわらず、2月16日からスタートする平成23年分の所得税の確定申告を目前にし、いまだに同決算書が届いていないケースがあります。
これはじつは、東京国税局は昨年12月中旬にインターネットのホームページ上で「確定申告書を書面により御提出いただいた個人の方に対し、例年11月に送付しておりました青色申告決算書等につきましては、平成23年分より確定申告書等と併せて平成24年1月下旬に送付いたしますので、あらかじめ御承知おきください」というお知らせを掲載していて、すでに同決算書が届いているところもあります。
なお、東京国税局では、同決算書が届いていない納税者に「青色申告決算書や確定申告に必要な各種様式は、国税庁ホームページ『確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等』に掲載しており、これらは印刷して御利用することができます」と呼びかけています。また、「これまで確定申告書をe-Tax(国税の電子申告システム)または国税庁ホームページ『確定申告書等作成コーナー』を利用して御提出いただいている方へは、行政コスト削減の観点から確定申告書等を送付しておりません」と注意を促しています。